これから何かしらの事業を副業で始めたいと思っている方の中には、

副業してるって会社にバレたくない…
という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
副業が全面的に認めている企業ならば要らぬ心配かもしれませんが、もし禁止されている場合はどのように対策をしたらよいのでしょうか。
この記事では、副業をこれから始める方に向けて「副業禁止」の対策方法についてご紹介します。



まあ自分から「どうも副業してまーす!」とはなんとなく言いにくい…



結構最初にみんなこの悩みに当たるみたいだね
この記事の信頼性



10年以上いろいろなビジネスの財務コンサルタントをしてきた経験から、様々なビジネスの「仕組み」について解説します
副業が会社にバレるとどうなる?


実際に会社に副業がバレてしまった場合、一体どんなことが起きるのでしょうか。
副業を禁止することがそもそも適法なのかも含めて解説していきます。
前提として、サラリーマンの副業は違法ではない
結論から言うと、サラリーマンの副業は当然違法ではありませんし、刑事罰などが課される可能性もありません。
これは日本国憲法において「職業選択の自由」が保障されているからです。
一方、それでも就業規則により「副業禁止規定」を設けている会社がたくさんあることも事実です。
この辺りは「憲法と就業規則のどっちが強いのか」という議論になりますが、現実問題としてグレーなまま放置されているような状態です。
まずは会社が副業禁止かどうかを確かめよう
副業を始めるにあたっては、まず自社の就業規則を確認して「副業禁止規定」が設けられているかを確認しておく必要があります。
副業禁止規定が就業規則上に明記されていなければ、当然自由に副業して構いません。
また、規定の中で禁止されている副業の例示があって、それらがこれから行おうとしている副業の範疇でなければこちらも当然副業OKということになります。



そうか、じゃあ早速就業規則をみてみるよ



ただ実際問題、副業に寛容な企業はまだまだ少ないというのはあるね・・
副業を認めている企業は約2割とまだまだ少ない
2021年の帝国データバンクの調査によると、兼業や副業を現在認めている企業の割合は全国で約18%にとどまっています。
今後認める予定と答えた企業は18.8%でしたが、併せても36%強と約2/3の企業は副業に前向きではないという調査結果があります。
引用:新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2021 年 2 月)(株式会社帝国データバンク)



それでも10年前に比べれば1割以上も副業推進の企業は増えてきているけどね
本業と競合する副業はほぼ100%NG
約1/3の「副業を認めている企業」にあっても、競業上において本業に差し障る副業をしている場合は当然NGとなります。
例えば…
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の正当な利益を害する場合
- 自社の名誉や信用を損なうような場合



そりゃあライバルに自分の会社の秘密をもってっちゃだめだよね



後は副業に時間を使いすぎて本業で居眠り、なんてのも当然だめだよ
副業がバレて会社をクビに?!
こちらも結論から言うと、副業がバレて即解雇というケースはかなり稀だと思われます。
あるとすれば副業を始めてから就業中居眠りばかりで損失が出た場合など、本業に大きな支障をきたすケースに限られるでしょう。
理由は、これまでの裁判例から企業は原則的に会社員の労働時間外の副業は認める方向で検討すべきとされているからです。
つまり解雇と言われても裁判で無効にできる可能性が高い、ということです。
というよりも、現実的には副業がバレたとしても「注意」で終わるケースがほとんどでしょう。
ただし注意が何度も何度も続き、勤務態度も悪化し続けたという場合には解雇もあり得るでしょうし、裁判で無効にもできない可能性があります。



結局は普段の勤務態度に影響が出ているかどうかが重要なんだね
「バレない副業」が最も平穏に事が進む
副業禁止規定が設けられている会社において、もちろん一番良いのは許可を得て特例で副業をスタートさせることです。
しかし現実的には、副業禁止規定が設けられている会社において、副業をする事を会社に届出て許可を得るというのはかなりハードルが高いでしょう。
理由は、一人認めれば他の人間も認めることになり、副業禁止規定自体が意味のないものになってしまうからです。
会社側も、業務に差し障りがなければたとえ副業を見つけたとしても見て見ぬフリをしてくれるケースなどもありますし、
結局のところ
バレないように副業をスタートさせる
というのが最も無難な落としどころと言えそうです。



国は「副業は前向きに検討すべき」って言ってるしなあ…



しつこいけど、そもそも本業に差し障りがあれば大問題だよ
どんなところから副業がバレるのか


副業が会社にバレても構わない、と考えている人はごく少数のはずですが、現実的に副業バレによって会社から懲戒をくらってしまう人は一定数存在します。
では、どんな場合に副業が会社にバレてしまうのでしょうか。
副業バレ❶ 持ち物が急に高額になる
一つ目のケースは、普段使っている時計やカバン、スーツなどが軒並み高額になって発覚するというものです。
車通勤している人などは車のグレードなどでも噂が立つ場合があります。
「自分は絶対そんなことないわ笑」と思われるかもしれませんが、意外にとても多いパターンの一つです。



そんなことある?



君が思うより周りは周りを見てるんだよ
副業バレ❷ SNSを通じてバレる
仕事の募集や宣伝など、ネット副業において副業をすることとSNSは切り離せない重要な要素になっています。
そんなSNSの情報から個人情報が漏れるケースも少なくありません。
住所や業種を特定できるようなツイートや近隣のお店を載せたInstagramなど、個人を特定できるような情報の取扱いには注意しましょう。



会社のパソコンで副業アカウントにログイン!とかももちろんNG
副業バレ❸ 副業している姿を同僚に見られる
就業時間中に会社内で副業することはもちろんご法度ですが、休憩時間などに作業を少しでも進めようと会社のPCで作業をしてしまって周りが違和感に気づくというケース。
会社のPCはそもそも管理者がログをとれるようになっています。
本業と関係のないソフトを起動させたり、副業にまつわるメールのやり取りなどを行うことは副業バレのリスクが高いと心得ておきましょう。



本業中は本業を早く終わらせることに集中しよう
副業バレ❹ 住民税額からバレる
これまでの❶~❸は、気をつけていれば回避できる副業バレです。
しかし住民税は「税金」ですので、避ける方法を知っていないとそもそも回避できません。
なぜ住民税から副業がバレるかと言えば、副業によって増えた収入によってあなたの住民税額が上がってしまうからです。



まあ収入が増えれば税金は高くなる…
住民税の納付方法は「普通徴収」と「特別徴収」という二通にわかれます。
住民税の「普通徴収」と「特別徴収」
- 普通徴収│自分で年4回住民税を納付する
- 特別徴収│会社からもらう給与から天引きされ、会社が代わりに払う
昔は普通徴収の会社もそれなりにありましたが、今は半強制的にほとんどの会社が特別徴収です。
つまりそれは、会社があなたの住民税額を把握しているということ。
会社の経理や総務の人間は専門家ですから、あなたの給与額からおおよその住民税額が想像できます。
あなたの住民税額が予想よりも極端に多いとなれば、自然と「他にも収入がある」と思い至るでしょう。



特別徴収めえ…



これを回避する為の方法を後から紹介するよ
副業の税金についてよくある勘違い
具体的な副業バレ回避の方法について解説する前に、普段私がよく見聞きする税金申告に関する勘違いについて解説します。
よくある勘違い①│日払い、手渡しならバレない?
副業を始めようとする方がよく勘違いされているのが、以下のものです。



現金手渡しだったり日払いの給与だったら、税務署にバレない=会社にもバレないんじゃないかな
結論から言うと、これは間違いです。
払い方に関わらず給与や報酬を支払う側は「源泉徴収」をする必要がありますし、払った給与や報酬額は払う側の会社の帳簿書類に載ります。
つまり給料のもらい方に関わらず、税務署はいつどこで誰に給与を支払ったかを調べることができるということです。
税務署から市区町村へ情報が流れる➡結局住民税が上がってしまう、というルートがあるので、現金払いだからバレないということはありません。



副業バレは住民税が肝ってことだね
よくある勘違い②│住民税をそれぞれの会社から天引きしてもらえばいい
例えばダブルワーク(2社以上で同時に雇用されて働く)の場合、住民税の高騰を避ける為にも働いている会社それぞれから住民税を特別徴収してもらえばいいんじゃ?
という話を耳にしますが、これは制度的に不可能です。
住民税の特別徴収ができるのは一社のみなので、副業の会社の給与に対する住民税は、市区町村への「給与支払報告書」を経由して結局は本業の会社に通知されます。



ダブルワークは強制的に住民税額が本業の会社にバレちゃうのか



その部分については後から詳しく説明するよ
よくある勘違い③│年間20万円以下の収入なら税金申告はしなくて良い
これは半分正解ですが、半分不正解です。
正しくは「所得税の確定申告は要らないが、住民税の申告は必要」です。
確定申告と違って書式は統一ではありませんが、各市町村の都道府県税事務所のHPから書式をダウンロードして住民税単体の申告を行う必要があります。



なんか想像より遥かに書くことが多いね



実はこれ、確定申告で記載が必要な項目とほとんど変わらないんだ
記載内容が特別に簡易という訳ではありませんので、実務的には「確定申告した方が早い」というケースがほとんどです。
なぜなら・・
- 申告書を無料で作成可能なシステムが既に国税庁のHP上に設けられている
- 確定申告の方法について税務署窓口で相談可能
- 申告書の書き方に関する情報も世に多く出回っている



20万円以下でも所得税の確定申告をしちゃった方がいいってことか



万全を期すなら申告しておくのが吉。実際している人が多いかと言われればアレだけど…
会社に副業がバレないための税金申告とは


副業バレは住民税に気を付けましょうというお話を繰り返ししてきましたが、では実際にどのように気を付けたらいいでしょうか。
答えは「確定申告のやり方」に隠されています。
前提条件:自分で「確定申告」を行う
勤務している会社が一社のみで、扶養控除等申告書などを会社に提出していた場合は年末調整で一年間の税金の申告を終わらせることができます。
ただし副業収入がある方は、それで税金の申告を終わらせてしまうと先ほどから紹介してきた住民税の金額で副業バレが起きてしまう可能性があります。
しかも副業分の所得を隠していることになる為、脱税行為ということになります。
これらのリスクを回避する為には「確定申告」を行う必要があります。



確定申告をするだけでいいの?



いや、きちんと専用のやり方があるんだよ
副業分の住民税は「普通徴収」にする
確定申告の計算自体は通常通り行います。
しかし、一点だけ通常の確定申告とは別の作業が必要です。
それは「給与、公的年金等以外の所得に関わる住民税の納付方法を選択する」という作業です。
所得税の確定申告書



見たことあるぞ



通常の確定申告の仕方についてはこちらの記事を読んでみてね


上に貼り付けた「確定申告第一表」と「第二表は確定申告」の際に必ず税務署に提出するものです。
住民税からの副業バレを回避するには第二表の方に、以下の通りひと手間加える必要があります。
確定申告書 第二表


第二表の下部にある「給与、公的年金以外の所得に係る住民税の納付方法」で「普通徴収」を選択します。



これだけで、副業分の収入に関する住民税は自分で納付する形に変えられるよ。選択しないと自動的に特別徴収になるから気を付けてね
普通徴収に切り替えられるのは「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税」のみ
書式の記述通りなのですが、住民税で普通徴収を選択できるのは「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税」のみです。
つまり、ダブルワークによる給与収入は自動的に特別徴収になります。
ですので、本当に副業バレを絶対に回避したい!という場合はダブルワークをおすすめしません。



副業規定についても、株式投資や不動産投資については何も言わないけど、ダブルワークだけはダメ!という規定になっているところも多いよ



まあ秘密保持や就業時間の拘束の観点から言ってもそうだろうね…
会社にバレない副業を選ぶコツ


住民税からの副業バレを防ぐ為には「雇用契約」によるダブルワークの給与収入はおすすめできないというお話をしてきました。
では実際にどんな副業なら会社にバレないのでしょうか。
答えは「雇用契約以外の収入であること」です。



給与とそれ以外ってどう違うの??



契約の仕方によって給与かそれ以外か変わるよ
副業は「雇用契約」ではなく「業務委託契約」で!
ざっくり簡単に言うと雇用契約で受け取るお金は「給与」で、業務委託契約で受け取るお金は「報酬」です。
給与は「給与所得」なので住民税は強制的に特別徴収です。
一方、報酬は「事業所得」か「雑所得」に該当するので住民税の納付方法は自分で選択ができます。
つまり、お金は「業務委託契約」で受け取るようにしましょうということです。



業務委託契約ってそもそもなに?



法律上正しくは「委任契約」って言うんだけど、要は「特定の業務だけを請け負う契約」だよ
ざっくり簡単に違いについてお話すると、雇用契約は業務時間と業務内容が決まっていますが、業務委託契約は時間や場所についての縛りがない、というようなイメージをしてもらえたらOKです。
業務委託契約についてもっと知りたい方は


業務委託契約は「プラットフォーム」を上手く利用しよう
業務委託契約という言葉が少し難しく感じるかもしれませんが、別にあなたが個人が企業と契約を結ぶ必要はありません。
現在の副業市場においては、それぞれの副業においてそもそも仕事を受託する為の「プラットフォーム」が既に用意されているのがほとんどです。
そのプラットフォーム上で契約をすれば基本的には「業務委託契約」という形になっています。
当サービスは、クライアントとワーカーが直接業務委託契約を締結することを目的とするサービスです。
当サービス上でご契約いただいた場合は、業務委託契約が締結されている状態となるため、契約書を必要といたしません。
クラウドワークス「【共通】業務委託の契約書がほしい」
「プラットフォーム」の例
- WEBライターなら「ココナラ」
- フリーエンジニアなら「クラウドテック」
- 動画投稿なら「YouTube」
- アフィリエイトなら「A8.net」



とにかく最初はプラットフォームを使って副業をスタートさせるのがいいってことか



企業と直接契約するってなると契約書のチェックができる人が必要だったりするから、上級者向けだね
副業バレについてよくある質問





この記事に関してよくある質問をいくつか紹介します
【まとめ】会社にバレずに副業するコツは業務委託契約と確定申告
- サラリーマンの副業は違法ではない
- 副業がバレる主な要因は住民税
- 副業バレを防ぐ確定申告のやり方
- 副業は業務委託契約のものを受けよう
最初にお話したように、会社員の副業は決して違法なものではありません。
ただ、現実的に副業禁止の会社に事前報告をして副業を開始できるケースは少ないでしょう。
そういった場合にただ副業を諦めるのではなく、賢い副業所得の申告方法を身に着けて、やりたい副業にチャレンジするのがおすすめです。



たしかに、そもそも確定申告上の住民税の納付方法が選べる欄があるって、国がわざわざ抜け道を用意してくれてるってことだもんなあ…



もちろん「副業させる為の欄です」って断言はできないけど、そういう意図が1%も無いとは言えないだろうね