【用語解説】売上総利益・営業利益・経常利益・純利益それぞれの違いは?

当ページのリンクにはプロモーションが含まれています。
  • URLをコピーしました!

この記事の信頼性

この記事を書いたひと
  • 大手税理士法人管理職
  • ファイナンシャルプランナー資格有
  • 開業、M&A、税金、事業運営その他全部おまかせ
和菓子大好き
おだんご

10年以上いろいろなビジネスの財務コンサルタントをしてきた経験から、様々なビジネスの「仕組み」について解説します

この記事はこんな人におすすめ

  • 粗利ってなに?
  • 営業利益と経常利益の違いがわからない
  • 会計用語について詳しくなりたい
おだんご

この記事の中にはあなたが見落としている重要なポイントがあるかも。是非最後まで読んでみてね

今回は営業利益・経常利益・純利益など、様々な利益の違いについて解説します。

これらは会計用語で、「財務諸表」と呼ばれる企業の利益や資産について書かれた書式上で使われるものですが、財務諸表に馴染みがない人でもできるだけ分かりやすい言葉で説明していきます。

利益の種類について知りたい方は、ぜひご一読ください。

contents

事業運営にまつわる様々な「利益」

一口に利益と言っても、営業利益や経常利益など様々な区分があります。

日経新聞を読んでいると頻繁にこれらの用語が出てきますが、意外ときちんと内容を把握していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一見似たような名前のこれらの用語、違いはいったい何なのでしょうか。

一つずつ見ていきましょう。

売上総利益(粗利)

売上総利益とは、売上から売上原価を引いた利益のことを言います。

一般的にはよく「粗利」という名前で呼ばれることが多いので、そちらで記憶されている方も少なくないと思います。

そして「売上原価」とは、一言で言うと商品やサービスを販売する為に直接的にかかった経費です。

業種別の売上原価の例

  • 服屋にとって生地代
  • 料理屋にとって材料費
  • 雑貨店にとって商品の仕入代
だっくす

作る為の費用だけじゃなく仕入代も原価になるんだね

例えば・・

2000円で仕入れた洋服が5000円で売れたとすると、売上総利益(粗利)は3000円です。

5000円 ー 2000円 =3000円

売上 - 売上原価 = 売上総利益(粗利)

だっくす

これはかんたんだね

営業利益

事業を運営する中で、商品を売るためには原価(材料代や仕入代)の他にも様々なお金がかかります。

人件費や店舗の賃料、光熱費、消耗品なども必要でしょう。

お店の宣伝もしなきゃいけないですね。

このような経費を販売費(一般管理費)といいます。

こちらも一般的には「固定費」という呼ばれ方の方がよく目にするかもしれません。

売上総利益から固定費(=販売費及び一般管理費)を引いた後の利益を営業利益といいます。

販売費及び一般管理費に含まれる経費

  • 人件費(給料やボーナス)
  • オフィスや店舗の賃料
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 広告宣伝費
  • 接待交際費
  • 保険料
  • 交通費
  • 消耗品費 などなど

売上総利益 - 販売費及び一般管理費 = 営業利益

おだんご

売上から経費を引いた純粋な利益なので、営業利益を見ればその会社の本業の利益がいくらかがわかるよ

経常利益

営業利益は売上から本業に関わるコストを引いたものでした。

しかし、企業というのは本業以外からも収入や支出があります。

これらの本業以外の損益を営業外収益・営業外費用といいます。

営業利益の金額から本業以外の営業外収益・営業外費用を足し引きした額が経常利益と呼ばれます。

営業外収益の例

  • 受取利息
  • 受取配当金
  • 有価証券売却益 など

営業外費用の例

  • 支払利息
  • 有価証券売却損
  • 有価証券評価損 など

本業で儲けていても、借入金の利息は払わないといけませんよね。

逆に、本業は赤字でも株で儲けているような会社もあったりします。

営業利益 +営業外収益 -営業外費用 = 経常利益

おだんご

借入利息は中小企業の多くにとっては重い負担だからね。本業が好調でも借入がおおければ黒字倒産なんてことにもなりえるよ

税引前利益

経常利益から「特別損益」を差し引きした後の利益を税引前利益といいます。

特別損益とは

会社には毎年発生する事業の損益だけでなく、色々な理由で一時的に発生する利益や損失があります。

たとえば不動産を売却して大きな利益がでたり、反対に災害があって大きな損失が出たりなどがこれに挙げられます。

予想もできない利益や損失。

これらを特別利益・特別損失といいます。

特別利益の例

  • 固定資産売却益
  • 長期保有の有価証券売却益
  • 関係会社・子会社株式売却益
  • 引当金の戻入金
  • 前期の損益修正 など

特別損失の例

  •  固定資産売却損
  • 長期保有の有価証券売却損
  • 災害による建物の損失
  • 前期の損益修正 など

本業の収益と別にすることによって、本業の収益性の分析がしやすくなります。

経常利益 + 特別利益 ー 特別損失 = 税引前利益

おだんご

テレビ局は今や不動産の方が好調すぎて不動産屋って言う人もいるね

だっくす

嫌味な言い方・・・!

当期純利益

税引前の利益から、支払う税金(法人税、住民税、事業税)の額を引いたのが当期純利益です。

これが、企業の最終的な利益です。

純利益として残った金額は、次の年度に繰り越して次年度の運営資金であったり、投資に充てられていきます。

経済新聞で紹介されることが多いのもこの「純利益」なので、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

税引前利益  −  税金  =  当期純利益

経営指標に関するよくある質問

おだんご

この記事に関してよくある質問をいくつか紹介します

利益指標のうち、事業の基本的な収益とコストを示すものはどれですか?

事業の基本的な収益とコストを示す指標は、「営業利益」です。これは売上総利益から営業費用を差し引いたものです。

利益指標の使いどころを例で教えてください。

例えば、売上総利益は商品の生産や提供にかかる直接的な費用を評価し、営業利益は事業の基本的な収益とコストのバランスを見るのに適しています。経常利益は金融収支や特別な項目を考慮した収益性を見る際に重要であり、純利益は事業全体の収益性や純粋な利益を評価するのに役立ちます。

利益指標を通じて事業の健全性を評価する際、どの指標が重要ですか?

事業の健全性を評価する際には、売上総利益や営業利益が重要です。これらの指標は事業の基本的な収益とコストのバランスを示し、事業の持続可能性を評価するのに役立ちます。

利益指標を改善するための戦略はどのようなものがありますか?

売上総利益を向上させるためには、原価削減や価格設定の見直しが考えられます。営業利益を改善するためには、効果的な経費管理や収益の増加策を検討します。経常利益や純利益を改善するためには、効率的な運営や資金利用の最適化が求められます。

利益指標の解釈において注意すべきポイントは何ですか?

利益指標を解釈する際には、単独で評価するのではなく、複数の指標との関連や事業の状況を総合的に考えることが重要です。また、特定の事業の性質や業界の特異性も考慮して解釈することが大切です。

利益の用語まとめ

  • 売上から仕入れを引いたのが売上総利益(粗利)
  • 粗利から本業に必要な経費を差し引いた後に残ったのが営業利益
  • 本業以外での収益を加味して残ったのが経常利益
  • 一時的な損失や利益を加味して残ったのが税引前利益
  • 支払う税金を引いて最終的な利益が当期純利益

当期純利益だけを見ても、企業の業績を分析することはできません。

どういった理由でその企業が利益を出したかがわからないからです。

原価が高かったのか、固定費が高かったのか、不動産を売ったのか、企業の業績に影響する要素は様々です。

誰もが知っている有名企業は、企業の損益計算書を一般に公開しています。

今回紹介した用語を参考に、企業の分析をしてみるのも面白いかもしれませんね。

だっくす

最後までお付き合いいただきありがとうございました

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

おだんご おかねに詳しいねこ。

ねこの皮をかぶった財務コンサルタント。
FP資格所有。

300件以上の企業、個人事業のコンサルを担当。

contents