副業で事業が安定してきた方の中には、
事業を法人化するメリットってなにかあるのかな…
こういった悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
結論を言うと、個人事業主が法人化を検討するのは、事業の成長やリスク管理の必要性からです。
成長に伴う課題やリスクを適切に管理するために、法人化は重要な選択肢となります。
本記事では、法人化によるメリット、法人化を考えるべきタイミング、法人化の注意点について紹介していきます。
是非この記事を参考に、是非法人化を検討してみてくださいね。
法人化によるメリット5選
法人化のメリットは大きく分けると次の5つです。
- 資金調達のしやすさ
- 責任の限定
- 節税効果
- 採用のしやすさ
- ブランドイメージの向上
パッと聞いただけではイメージしずらいものがあるかもしれませんね。
一つずつ解説していきます。
1.資金調達と投資のニーズ
事業の成長や新しいプロジェクトへの取り組みには資金が必要です。
法人化によって、個人の資金だけでなく、外部からの投資や金融機関からの融資を受ける機会も広がります。
もっとも身近な例として、法人化により銀行からの融資を受けやすくなるというメリットがあります。
もちろん事業の中身で判断されるのは個人でも法人でも変わりはありませんが、信頼度は個人事業と法人では段違いに差があります。
融資を受けられれば、新しい設備や施設の導入、事業拡大のためのマーケティング活動などに資金を投資することができるでしょう。
なかなか一般の人が個人、法人両方の立場で銀行に融資を申し込む機会ってないと思うけど、本当に全く対応違うんだよねえ…
2.法人化による責任の限定とリスク管理のメリットの説明
事業が成長すると、個人事業主の個人資産が事業の責任範囲に晒される可能性があります。
平たく言うと、事業の失敗を自分の財布でカバーする必要があります。
しかし、法人化することで個人資産を保護し、事業の責任を法人に帰属させることができます。
これにより、個人の財産がリスクから守られ、事業に関連する問題が発生した場合にも個人の財産が守られます。
具体的な例として、個人事業主が借金をして事業を拡大したとします。
しかし、事業がうまくいかず借金の返済に困ることがあった場合、個人事業主であれば個人資産が差し押さえられる可能性があります。
しかし、法人化することで、法人の資産が差し押さえられるため、個人の財産は守られることになります。
法人でお金を借りる時って社長個人が連帯保証をつけられるって聞いたことがあるけど…
もちろんそういったケースはあるんだけど、最近では法人の負債を個人にまで影響させると起業意欲を妨げるということで、法人と個人を切り離すように銀行に指導が入っているみたいだよ
ただ誤解して欲しくないのは、別に法人の失敗が個人に一切影響がない、なんていう事ではないってことね。信用情報に傷がつくのは避けられないよ
まあそこまで都合のいい話じゃないっていうのはわかるけど、可愛い見た目してめちゃくちゃシビアな事を言う…
3.税務上のメリットと節税効果
法人化することによって、税務上のメリットが得られます。
法人としての経費計上や税制上の優遇措置を活用することで、税金の負担を軽減することができます。
どうして法人化によって税金が減るのか、理由を説明します。
税率の違い
個人の所得税と法人税率を比べてみれば一目瞭然です。
個人税率
課税される所得金額(年収) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 – 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 – 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 – 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 – 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 – 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 – 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
法人税率(資本金1億円以下の普通法人)
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
0円 – 8,000,000円 | 15% |
8,000,001円以上 | 23.2% |
1800万以上ならほぼ倍違うやないか!
これはあくまで国に納める税金の税率だから表に住民税は含めてないけど、まあ別に含めても差は縮まらないかな…
端的に、法人税率と所得税率には大きな開きがあります。
法人化を検討する際の最もわかりやすいメリットはこの税率の差かもしれませんね。
経費計上の違い
個人事業では経費にできなかった経費の計上や節税措置を活用することで、事業利益からの税金を最小限に抑えることができます。
例えば…
- 役員報酬(自分の給料)
- 生命保険料
- 光熱費やガソリン代
いずれも法人だから無条件に全額経費!という訳にはいきませんが、いずれも個人事業よりは経費として認められる範囲が広いという特徴があります。
これらにより、税金を最小限に抑え、事業利益の一部を再投資や事業拡大に充てることができます。
4.従業員の雇用のしやすさ
事業が成長すると従業員を雇用する必要が生じますが、法人化することで、従業員が雇用しやすくなります。
理由は大きく以下の二つです。
- 社会的信用の向上
- 社会保険に加入できる
どこの媒体で募集しても個人事業よりは法人の方が見栄えがいいですし、何より社会保険に加入できるというのは応募者からすると大きな魅力です。
会社で社会保険に入れてくれたら半分会社がぼくの社会保険を負担してくれるんだよね
一般的に後から年金でもらえる金額が国民年金よりは上がるね
従業員の雇用は、業務の効率化や事業の拡大に不可欠です。
法人化により従業員を雇用することで、生産性を向上させることができますし、従業員の数や専門性に応じて業務を分担し、効率的な業務運営を実現することができます。
5.ブランドイメージと信頼性の向上
法人格を持つ企業は、顧客や取引先からの信頼性が高まります。
法人化することで、企業の信頼性やブランドイメージを高めることができます。
法人としての信頼性は、ビジネスの成功にとって重要な要素となります。
具体的な例として、法人化によって企業名やロゴの使用が可能になります。
これにより、プロフェッショナルなイメージを持つことができ、顧客や取引先からの信頼を得ることができます。
また副業で考えるとクラウドソーシングで仕事を取りに行くこともあるかと思いますが、応募の際も法人アカウントの方が信頼を得やすいという面もあるでしょう。
法人化のタイミングの考え方
事業の法人化は、事業が安定期に入り成長の機会や課題が見えてきた時に検討することが一般的です。
では具体的な目安はどの辺りにあるのでしょうか。
最もわかりやすい分岐点は事業の「年間所得」です。
たしかに税金は誰でも払うものだし、税金のメリットが一番わかりやすいかな
法人化を検討すべき所得がいくらか、というのは事業の安定性や将来性などによってもちろん変わってきますが、一般的には年間1500万円を超えたあたりと言えます。
所得が年間1500万円を超え、事業の拡大に向けた計画がある場合には、法人化を検討するタイミングと言えます。
法人化の注意点
法人化のタイミングや 最適な法人形態の選択は重要な判断です。
その為、専門家の助言を受けることは、成功に向けた重要なステップです。
ここでいう専門家とは、一般的には税理士が当てはまるでしょう。
税理士のアドバイスを事前に聞く
税理士などの専門家は、経験と専門知識を活かして個別の事情に合わせたアドバイスやサポートを提供してくれます。
年間所得と合わせて事業自体の評価もしてくれるので、今が法人化のタイミングかどうかのアドバイスもしてくれるでしょう。
税理士や弁護士などの専門家に相談し、自身の事業の状況や目標に合わせた最適な法人形態を選択することが重要です。
また、専門家の助言を受けながら、法的な手続きや書類作成などのサポートも受けることができます。
法人化により増える手続き
また、法人化により行う手続きが個人事業よりも増えることになります。
例えば
- 税務申告
- 社会保険手続き
- 登記手続き
いずれも自分で行うことは可能な手続きですが、慣れていなければ時間がかかるものばかりです。
事業以外のことに時間を使うよりは、専門家に依頼してミスなく手続きを終えるのが賢い選択でしょう。
法人化にもデメリットがあったんだ…
逆に考えると、法人はこういう公的な手続きをきちんと行っているから社会的な信用度が高いってことだね
よくある質問
この記事に関してよくある質問をいくつか紹介します
まとめ
個人事業主が法人化を検討するタイミングと最適な法人形態の選択は、事業の成長とリスク管理、資金調達、税務上のメリット、従業員の雇用、ブランドイメージなど多くの要素を総合的に考慮する必要があります。
法人化によって得られるメリットや節税効果を活かし、事業の拡大と安定した運営を目指しましょう。
相談を通じて、最適な法人化のタイミングを選択することができます。
専門家は事業の現状や将来の展望を考慮し、税務上のメリットや法的な手続きについて具体的なアドバイスをしてくれるでしょう。